*

第2回 吉田製蝋所見学

授業「地域デザイン」葡萄櫨の原木調査の一環で海南市にある

全国でも珍しい玉絞りで製蝋する「吉田製蝋所」の見学に行きました。

大正時代から使われている現役の玉絞り機

2016年(当時のブログリンク)に初めて地域デザインで訪れた際、和ろうそくの現状や原木の情報など、貴重な情報を頂き、ブドウハゼに関する調査のきっかけになりました。

平成から令和に年号が変わり、先日行われた即位礼正殿の儀で天皇陛下が身につけられた黄櫨染御袍は、櫨を使った染物です。昔は天皇以外は身につけることが出来ない禁色でした。

また、高野山の西懐の本校周辺では、柿の木を「オフダをつけた櫨の枝」で叩き豊作を願った。という風習があったと聞きます。更に、高野山の護摩炊きで使用される護摩木も伝統的に櫨の木を使用します。

櫨は英名Japanese wax treeといわれ、その名に日本が入ります。

このような事例から見ると、櫨には日本人にとって特別な力があると信じられていたのだと感じます。

今回の製蝋所訪問の目的は、

①木蝋生産の現場を知ること。

②授業で進めている新企画の試作で使うブドウハゼの枝を分けていただくこと

の二点です。

新企画とは、11月17日に紀美野町文化センターで開催される世界民族祭で発表します。

現在の選択生徒にとっては初めての製蝋所訪問になりました。

吉田さんへの聞取り風景

吉田製蝋所では、昔ながらの方法で丁寧に木蝋を作られています。

その行程は以下の通りです。

貯蔵⇒脱穀 ⇒ 蒸し ⇒ 絞り ⇒ 鋳込み ⇒ 一番蝋完成

選別 ⇒ 蒸し ⇒ 絞り ⇒鋳込み⇒ 二番蝋完成

(種を炒る ⇒ 粉砕 ⇒ 蒸し ⇒ 絞り ⇒ 鋳込み⇒三番蝋完成)

※カッコ内は現在は行っていないそうです。

脱穀に使う石臼
60gの蝋が入る鋳込み鉢。

吉田さんは「昔は年中製造していたけど、原材料の櫨が少なくなってきている現在は年間数日稼動しているだけです」とおっしゃられていました。

そして、「次に製蝋するときは見学においで」と声を掛けていただきました。

木蝋のニーズは和ろうそく職人や大相撲、歌舞伎、舞台俳優が使う鬢付け油など、その量は昔より減っていますが確実に存在します。

吉田製蝋所さんの製造工程を見せていただき感動したのは

蝋を絞る過程に無駄が無いことです。

出がらしのカスや枝は燃料にし、漆器の乾燥時に使われていたそうです。

三番絞りを行っていないときは種も炭に加工して使用したそうです。

「硬い種から作った炭は備長炭のように良質な炭になりました」と奥様が語られていてとても興味をそそられました。

「大切にモノを作る」消費世界に生きる私たちにとっては、

新鮮で大切なことを学ぶことが出来た校外実習でした。

りら創造芸術高等学校HP

りら創造芸術高等学校(平成28年4月開校)WEBサイト

りら創造芸術高等学校HP

関連記事

「葡萄櫨の原木」写真鑑定

授業でブドウハゼの原木と思われる樹と、 天然記念物報告書に掲載されている写真が同一の場所で撮ら

記事を読む

日テレ『THE突破ファイル』でりらの活動が放送されます 12月6日 19時~

りら創造芸術高等学校の生徒が、授業「地域デザイン」でおこなっている調査活動が題材となって制作された再

記事を読む

12月20日 高大連携ゼミナールin和歌山大学

2017年12月20日 りら創造芸術高等学校と和歌山大学観光学部による「高大連携ゼミナール」が和歌山

記事を読む

no image

高大連携ミニシンポ 地域と学校と人づくり

高大連携ミニシンポ「地域と学校と人づくり」が1月25日(金)、 紀美野町美里支所にて行われ、りら生

記事を読む

「真国地区に納豆文化」新聞掲載 授業「地域デザイン」

2014年9月13日「真国地区に納豆文化」と題した記事がわかやま新報社で掲載されました。

記事を読む

地域デザイン 葡萄櫨の原木調査 「和歌山県の年輪調査に同行」

2017年12月14日午後、林業試験場や文化遺産課、海草振興局林務課、志賀野さみどり会のみなさんなど

記事を読む

地域デザイン【葡萄櫨の原木調査】県による竹の除去作業

2018年3月7日午後、県の担当者の方からご提案をいただき、 原木に日光が当たるように周辺の竹

記事を読む

地域デザイン 高大連携合同ゼミナール

りら創造芸術高等学校の選択授業「地域デザイン」受講生と、和歌山大学観光学部「農山村再生ゼミナ

記事を読む

授業【地域デザイン】 ブドウ櫨の原木を探す

授業地域デザインでは、京和ろうそくの原材料になるブドウ櫨についても調べています。 ht

記事を読む

地域デザイン授業記録簿 林業特別授業 第1回 特用林産物

今回の授業は和歌山県女性林研の皆さんにご協力いただき3回にわたり林業や山の生活を学びま

記事を読む

りら創造芸術高等学校HP

りら創造芸術高等学校(平成28年4月開校)WEBサイト

りら創造芸術高等学校HP

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

りら創造芸術高等学校HP

りら創造芸術高等学校(平成28年4月開校)WEBサイト

りら創造芸術高等学校HP
キノミノリプロジェクト~愛知県岡崎市の松井本和蝋燭工房へ~

8月2日、愛知県岡崎市にある松井本和蝋燭工房へ見学及び撮影に行きまし

no image
ブドウハゼツアーをしました!

5月に、海南市下津地区と有田市でブドウハゼにまつわる場所を訪問しまし

no image
ブドウハゼに関して雑誌の取材を受けました

4月末、プロジェクトりらファクトリーと授業地域デザインの生徒各数名で

17期生入学式

2023年4月9日(日)、りら創造芸術高等学校で第8回入学式を執り

no image
ブドウハゼのモクロウ PR動画

プロジェクトりらファクトリーでは、2022年4月に海南市にある吉田製

→もっと見る

PAGE TOP ↑