地域デザイン【葡萄櫨の原木調査】県による樹齢調査結果説明会
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地域デザイン授業記録簿, 葡萄櫨の原木調査
2018年3月12日月曜日14:00から、りら創造芸術高等学校のスタジオ教室にて、
和歌山県の林務課による樹齢調査結果の説明会が、わくわく班メンバー2名に対して行われました。
そもそも、私たちがこの樹が「原木である」とする根拠は、大きく3つあります
①地域の古老の証言
②天然記念物調査報告書に掲載されている住所が一致している
③天然記念物調査報告書に掲載されている写真と樹形がほぼ一致する
普通ならほぼ間違いないと言っても過言ではないと思いますが、
今後、天然記念物として登録を目指すためには、(学校にその権利は一切ありませんがW)
間違いのない、科学的な根拠も必要になると考え、県に調査を依頼しました。
この調査は2017年12月14日午後に県によって行われました。(ブログ記事)
この調査は、樹に小さな穴を開けて年輪を読み取る。というものです。
採取時に、原木の中心部に空洞があることが判り、結果としては本当に小さな「木屑」が採取できただけでした。
正直「この方法では無理なのかな?」と参加した全員が思っていました。
また、参加した専門家や地域住民の方からは「200年近い樹齢の樹にしては樹皮が新しすぎないか?」という指摘も飛び出したことから、
この調査の結果がとても気になっていました。
この日の説明会では、県の担当者の方がパワーポイントを使って、
調査方法や狙いなど、分かりやすく報告してくださいました。
その報告を聞いて驚きました。
県林業試験場の方が顕微鏡を駆使して詳細に調査してくださった結果、
たった5センチの木片から82~97年分の年輪を採取することができたそうです!
5センチの中に約100個の年輪があるということは、その年輪幅約0.5mm!
これは、想像以上の密度です。
実際の穴の深さは20cmあります。
下の図で一般的な材木の年輪を観察してみました。
樹は一般的に、よく成長した年の年輪幅は太くなり、成長しにくかった年の年輪幅は狭くなります。
成長度合いは様々な状況が考えられますが、推定樹齢は概ね200歳前後といった感じになる可能性があります。
この推定樹齢は、文献から私たちが導いた「179年以上の樹齢である」との主張に矛盾がありません。
また、これだけ年輪幅が小さいということは、ここ90年ほど成長が鈍っている可能性が考えられます。
この結果は、83年前の天然記念物指定当時、「原木周辺は棕櫚や竹の造林で、光輝ある葡萄櫨の原木か、と寂しい想いを呼び起こさせる」
と書かれていることと状況が一致します。
さらに、天然記念物調査報告書に掲載されている昭和8年(85年前)当時の樹の大きさ(根元幹周り122cm)を5センチ足すと、現在の幹周りとほぼ一致します。
結果として今回の調査からは、
今回調査した樹と天然記念物に指定されていた原木とは、同一である可能性が高まった。
と報告してくださいました。
りら創造芸術高等学校HP
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