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授業こぼれ話「きつねの小判」の由来仮説

公開日: : 最終更新日:2023/01/10 地域デザイン授業記録簿, 最新情報, 葡萄櫨の原木調査

きつねの小判という子どもの遊びをご存知だろうか?

「きつねの小判を100個集めると願いが叶う」というもので、全国で同じような遊びが行われているらしい。※別名:カラスの小判 猫の小判 ネズミの小判

このきつねの小判の正体は野鳥によってたべられて排泄された「櫨の種」である。大人からみると汚く感じるが、子どもたちは雨水によって洗われ綺麗な黄金色に輝くその種をせっせと集めている。

櫨の種 別名:きつねの小判

全国で遊ばれている。といっても地域差があるようで、知っている人にとっては当たり前だが、知らない人にとっては全く謎の遊びらしい。以前から、授業で櫨について学びながらこの遊びの分布範囲やいつごろから遊ばれているのか?そしてその由来に関心をもっていた。

今回は、芸術高校の地域探求授業のこぼれ話として、この遊びの中に面白い事実とストーリーが含まれることに気がついたので紹介したい。

大きく成長した櫨(リュウキュウハゼ)は数10キロの実を実らせ、自然下では樹の下に大量に落下することになる。

しかし、その一部は野鳥によって食べられる。

葡萄のように実った櫨(ブドウハゼ)

櫨の実は、外皮に水に強いWAX成分を含み、種は非常に硬いため、そのままでは発芽しない。このことで、親木との競争が起こりにくい仕組みになっていると考えられる。

一方で、鳥の胃の中で強い酸性にさらされた種は発芽しやすくなる。さらに鳥によって広範囲に散布されることで、その植生範囲を広げる役割もあり、生物の授業で櫨は、陽樹の先駆種(パイオニア種)として位置づけられている。

和歌山県林業試験場が行った研究によれば、サンポールの中に24時間漬け込んだ種はほとんどが発芽したという。

この櫨の実から抽出されたWAXを木蝋(モクロウ)といい、和ろうそくやお相撲さんの髷を結う鬢付け油に使用され、全国で栽培されてきた植物である。

和蝋燭
吉田製蝋所の木蝋

農家が櫨を栽培しようとすると、優良な品種の穂木を台木に接木して増やす手法がとられてきた。この台木は一般的に櫨の種から育てた木も使われている。

接ぎ木の絵 「葡萄櫨樹栽培秘法田淵駒之助 著より」

当然、台木を沢山生産するために発芽率が高い鳥のフンから得られる種が必要とされたことは想像できる。

また、ジャコウネコに選別させる高級珈琲 コピ・ルアクのように 、野鳥自身が優良な種(美味しい種)を選別することで、台木としての価値だけでなく、実生の苗木としての価値も高い種が得られる生物的選別がなされている可能性も高い。

昔の和歌山では、優良品種の櫨「ブドウハゼ」が発見されたことで、この苗木が飛ぶように売れ、和歌山の財政を支えた。との記録が残っている。

当然、より優良な品種の種も必要としたことは間違いないだろう。

しかし、鳥のフンは決まった場所にあるわけではなく、大人たちが探すのは一苦労である。

そこで、100個集めると願いが叶う(好きなものを買ってあげる)というような子どもの仕事が存在していた可能性があるのではないだろうか?

この推論が正しければ、きつねの小判の遊びは櫨を栽培していた地域周辺に分布している可能性が高い。

果たして正しいのか?いつか授業で探求してみたい。

りら創造芸術高等学校 鞍

続報 2022.12.24

本、ブログ記事を御覧になった方から以下のメッセージを頂きました

鹿児島県垂水市に住んでます。先日幼稚園の子どもが小さな種を拾って来ました。その子の母親曰く「きつねの小判って言うらしいの。子どもが時々拾ってくるんだけど100個集めればいいことがあるらしいんだけど 捨ててしまうことが多くてね」

そこで調べてみたら貴校が調査しているとのことで、情報提供です。

ここ鹿児島では島津斉彬氏の施策でハゼの栽培を積極的に進めて藩の収益にしたとのこと。勝手に採った者は罰せられたそうです。

だから他の地域より多く植栽されていると思います。

私は 垂水市に住み始めたのは大人になってからですのでもう少しリサーチして見たいと思います。

リュウキュウ櫨(ブドウハゼの学名)の本場鹿児島県にはやはり「きつねの小判」の遊びがあるようです。

本校の調査の範囲では若者の間でしか確認できていません。きつねの小判仮説を証明するには昔(栽培が盛んだった明治~昭和初期)から遊ばれていた必要があります。高齢者による聞き取りなどで、どの時期からこの遊びがあったのか?などの調査が進めば面白いのですが。。。

情報提供ありがとうございました。

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