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オーガニックコスメ製作プロジェクト~地元産100%で作る手作り化粧品~香料製作編

りら創造芸術高等学校の選択授業「プロジェクト地域おこし」では、地域に眠る宝モノを探して芸術高校らしいカタチで価値と繋げる探求学習を行っている。

今年は、オーガニックコスメ製作プロジェクト~紀美野町産100%で作る手作り化粧品~というテーマを中心にした授業展開になった。

このプロジェクトの経緯

2020年1月23日、先輩たちが探求していた「ブドウハゼの原木」が天然記念物に再登録され、保護されることになった。

※この原木について関心のあるかたは以下のブログをご覧ください。

ブドウハゼの原木関連のブログ記事

しかし、原木の置かれている状況は依然として厳しいままであり、今後永く地域で守られるためには、現代における新しい利用価値の創造が必要だという認識になった。

ハゼ蝋の秘めた可能性

原木から採れる徳用林産物「ハゼ蝋(モクロウ)」は大正時代には和歌山県の重要な産業であった。今では全国に原木の子ども(接ぎ穂から増えた木)が栽培されいる。

ハゼから実を収穫する古老(当時88歳)

主な用途は照明用和ろうそくと力士の髷(まげ)を結う『びんつけ油』の原材料であった。

びんつけ油は舞妓さんや歌舞伎役者が化粧下地として現在も使われていることから、肌に良いのではないかと推測し、化粧品(クリーム)を作ってみることとなった。

ハゼ蝋の入手

加えて、原木に関する探求学習で繋がった、国内でも数箇所しか現存しない、昔のままの製法で蝋を作る吉田製蝋所様から、一般に流通しない貴重なブドウハゼでつくったハゼ蝋を頂くことができたことで、授業でクリームの試作を行ってみた。

頂いたハゼ蝋(モクロウ)

ハゼ蝋でクリームを試作した

作ったクリームは上質で使いやすかったが、ハゼ蝋と油が融合した特有の香りは課題だと感じ、生徒たちから「香りがあったほうがいい」という意見がでた。

香りも地元にこだわりたい

そこから、地元の「良い香り」を探してみることに。

今年注目した香りは「カヤ」と「シュクシャ」の2つ。

・カヤ(榧、学名:Torreya nucifera):生物基礎の授業で毎年訪れる県下最大のカヤは紀美野町の町木に指定されていて、秋になるとナッツの様な種を含む実がなる。昔はその種から抽出する油を灯明用として高野山への年貢にするために栽培されていた。その果実を手に取ると、もぎたてのトマトのような香りがするが地域では加工などに使われた記録はない。

県下最大の天然記念物のカヤ

・縮砂(陽春砂、学名: Amomum villosumの亜種):地元の直売所「雨山の郷」の人気商品 縮砂寿司に使われる野草。香りが良いことで定評がある。

香料の精油スタート

①蒸気蒸留装置の自作

香料を抽出する方法を調べた結果、蒸気蒸留法に挑戦することにした。

実験機器で抽出している様子
簡易蒸留装置

しかし、購入できた機器や最初に自作した簡易蒸留装置では小さすぎたため、フローラルウォーターは出るが精油を得ることが出来なかった。

そこで、カヤ精油を販売されている「カヤの森」様に電話で質問したところ、快く相談に乗ってくださった。

予想した失敗の原因は2点

①枝や葉ではなく実を使う

②使用する実はもっと大量に

そこで、蒸留装置を自作することにした。

蒸留装置のイメージ図

材料は中古の圧力鍋と、地元の方から提供していただいた銅製のスパイラル管。

大量の氷を使い、効率よく蒸留することが出来るようになった。

自作した蒸留装置

次なる課題は、大量の実をどうやって集めるか

そこは紀美野町の強み「カヤの自生率日本一」を活用して地域の大きなカヤを所有されている家を探すことに

地域には、まだ天然記念物には指定されていない巨大なカヤが存在し、その木から約5kgの実を分けていただいた。

実を細かく裁断

苦節3ヶ月、やっとのおもいで抽出に成功した精油は僅か30ml

抽出したカヤの精油

2020年11月21日に開催された「りらシアター」来場者にアンケートを実施。

カヤの香り感想結果

9割の方が良い香りと感じてくださった。

その香りは、山の柑橘系と表現できそうなさわやかで落ち着く香りがする。

沢山の方に自分たちで作ったカヤ精油を良い香りと評価していただけて、クリームに香り付けするための材料としては期待が持てる結果となった。

「クリーム製作編」に続く

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