地域デザイン【葡萄櫨の原木調査】DNA鑑定 向陽高校に依頼
公開日:
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最終更新日:2018/12/06
地域デザイン授業記録簿, 葡萄櫨の原木調査
2018年5月22日火曜日、りら創造芸術高等学校の生徒4名が和歌山県立向陽高校に赴き、
SSH(スーパーサイエンスハイスクール)の課題研究授業に取り組む2年生5人に対して
「葡萄櫨の原木」調査の概要をプレゼンテーションし、原木の保護に向けて課題としていた、
原木のDNA調査を依頼しました。
5人の生徒さんは真剣に話を聞いてくださり、
「頑張りたい」と言ってくださいました。
今後、現地で葉などを採取し、DNAを抽出して原木である科学的根拠を得たいと考えています。
■葡萄櫨とこれまでの調査活動
葡萄櫨(ブドウハゼ)は、紀美野町原産の徳用林産物のひとつで、冬には黄金色の実を実らせます。一般の果樹のほとんどが接木(クローン)であるように、この葡萄櫨も最初に紀美野町で見つかった1本以外は、全てクローンです。
昨年度のりら創造芸術高校の授業「地域デザイン」で行ったフィールドワーク調査と文献の調査を通して、この葡萄櫨の最初の1本、すなわち「原木」を発見しました。
発見といっても昭和30年頃までは、その貴重さから県指定の天然記念物として保護されていた木です。
現在調査中ですが、様々な理由からその存在が忘れられ、昭和60年に発行された町誌でも「現在は枯死してその跡形もない」と記されています。
その実から抽出されるロウは英名を「JAPAN WAX」といい、和ロウソクの原材料になります。
櫨のロウソクは、テレビ番組「ザ!鉄腕!DASH!!」のダッシュ島で取り上げられたことでも話題になりました。
昔は全国的に需要が盛んで、明治頃までは和歌山県の財政を支えたと云われています。
その後、照明の電気化によってその需要が急速に減少し、現在では紀美野町で主に収穫するのは88歳のおじいさんのみになっています。
しかし、京都の和ロウソク職人の方などは、「和ロウソクの原材料としてこのロウが最高の品質だ」と評していて、京都で生産し産地化したいという活動も始まっており、今も着実に需要があります。
京都の舞妓さんなどがその肌を真っ白に塗るのは、この和ロウソクの影響があったともいわれます。
私たちが現在良く目にする洋ロウソクに比べ、和ロウソクは燃焼温度が低く、オレンジに近い色で燃えます。
この光の下で綺麗な肌色に見せるために、あのような真っ白な化粧が合理的であったことも想像できます。
和ロウソクの職人さんからお聞きした話によると「海外のTVメディアの方はそのことを良く知っていて、LEDの照明ではなくホンモノの光(和ロウソクの照明)で舞妓さんを撮影したい」といわれるそうです。
文化というと、京都の舞妓さんや歌舞伎など、華やかなものを想像しますが、文化を意味する英語「culture」は「耕す」を意味するラテン語「colere」に由来します。耕して伸びるのは「根っこ」です。
文化が華やかな花だとすると、その下には風土に根ざした「根っこ」がある。ということでしょうか。
照明文化協会の落合会長が先日りら創造芸術高校に視察に来てくださり「日本の誇る伝統的な照明といえば和ロウソクです。和ロウソクの最高品種を生んだこの地(紀美野町)は日本の明かり文化の原点といえますね」と語ってくださいました。
「櫨の実」はまさしく照明文化の根っこであるといえそうです。
街を歩くと海外の旅行者が増えたのはどの地域でも感じることが出来るようになりました。
観光立国を目指す日本において、和ロウソクのような文化の根は、決して派手ではありませんが、今後とても重要なものになると思います。
りら創造芸術高等学校では授業でその保護や調査、ドキュメンタリー映画の撮影など、芸術を特色とする高校ならではの視点で活動しています。
【告知】
2018年6月6日水曜日 18:30~紀美野町志賀野地区公民館において、「葡萄櫨の原木調査報告会」を実施します。りら創造芸術高等学校の生徒が取り組むこの調査の報告を地域の方をはじめ、興味のある方にお聞きいただきたいと考えています。是非ご来場ください。
日 時 :2018年6月6日 水曜日 18:30開始
場 所 :志賀野地区公民館 HP
参加方法:自由参加※お席と資料には限りがあります。
りら創造芸術高等学校HP
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