地域デザイン 葡萄櫨の原木調査「実物計測」
公開日:
:
最終更新日:2017/12/23
地域デザイン授業記録簿, 葡萄櫨の原木調査
2017年9月8日金曜日
地域デザインの授業で鞍ワクワク班のメンバーと映像表現のA君で、葡萄櫨の原木調査に行ってきました。
まず、原木調査に行く前に鞍先生から調査報告を聞き、今までの葡萄櫨の調査を確認しました。
りらの葡萄櫨の原木調査は2015年から始まり今まで続いてきています。
下の家は、天然記念物に登録申請をされた方の家です。
今は、空き屋となっていますが親族の方が管理されているようです。
下の写真は道を写したものです。道の形跡が全くありませんが、ここに前回来た時は道があったようです。
5ヵ月前のここの写真を見たら全く別の場所かと思う位、かなり景色が違っていました。
夏ということもあり前回の冬とは違い、かなり草が生い茂っています。
先生が道を発見したところです。この奥に櫨の原木がありました。
以前調査をしていなければ、絶対見つけられないと思います。
もともとは軽トラが走れる道だったようですが、竹林の様な状態で、通るのも一苦労!この日は暑かったのですが、この中に入ると涼しく感じました。
普通の櫨は、この時期葉が生い茂り、下にいるだけでカブれてしまうといいますが、この櫨は、竹やぶの中に埋もれてしまい葉がほとんどありませんでした。
しかし、新しい葉が生えているのを数本発見しました!
下の写真は、左が昭和8年以前に撮られた天然記念物「葡萄櫨の原木」(出典:和歌山県史跡名勝天然記念物調査会報告13_80項)。
右は7ヶ月前に撮影した今回調査した葡萄櫨の樹です。
今回の調査は、この二つが同じ樹かを調べます。
赤い丸で囲んだ部分は、撮影方向こそ違いますが同じ形をしていることがわかります。
そのほかの場所もおおむね同じ形状ですが、黄色い丸で囲んだ部分だけ、大きな枝がなくなっています。
仮に同じ樹であれば、必ず折れた跡が残るはずです。
下の写真は、反対側から撮影したものです。
黄色の丸が枝の切り口です。
白黒写真と同じ位置に枝があったことが判ります。これを発見した時は、Sちゃんと「あれや!!」と声が重なり、かなりテンションが上がりました!
天然記念物調査報告の資料によると、樹の大きさは根元において幹周り4尺(1.221m)高さ18尺(5.4m)、地上1尺(30.3cm)の処より4枝に分かれ各々枝周り1尺4寸(42.42cm)、2尺(60.6cm)、1尺7寸(51.51cm)、2尺7寸(81.81cm)あり。
とありました。
今回の調査で実測したところ幹周り158cm、高さは計測不能(竹藪に覆われているため)。地上約30cm(計測位置によっては最大50cm)のところより2枝に分かれている。(元々は4枝であったことは折れた後から見てあきらか)各々枝周り58.5cm、85.7cm、66.5cm、86.3cmであり、どの枝も資料より大きくなっていることが判りました。書かれた時代から80年以上成長したとすれば適切な大きさといえます。
下の写真にある大きさは実測したものです。括弧内は和歌山県史跡名勝天然記念物調査会報告にあった大きさを当てはめました。
※括弧内のサイズは正確にどの位置かの記載はなかったので推測で入れています。
また、枝の分岐箇所についてのみ資料と同じ高さでした。「分岐の位置は成長に伴って変化しにくい」箇所であることからも、この樹が明らかに資料に登場する天然記念物の「葡萄櫨の原木」であることが判ります。
また、この樹の樹齢は、天然記念物調査報告で「勇三氏(明治6年61歳で死亡)が若い頃に発見した」となっていることから、少なくとも190歳以上であると思われます。
次回以降の授業は、聞取り調査をしたいと思います。
葡萄櫨に関する次のブログ『地域デザイン 葡萄櫨の原木調査「県による視察」』
葡萄櫨に関する過去の記事をご覧になりたい方は、以下のURLをご参照下さい。
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