*

キノミノリプロジェクト~愛知県岡崎市の松井本和蝋燭工房へ~

8月2日、愛知県岡崎市にある松井本和蝋燭工房へ見学及び撮影に行きました。
松井本和蝋燭工房のHP

松井本和蝋燭工房は、100%国内産のハゼの実蝋を使用し、全行程手作りで和蝋燭を作られている、日本でも数少ない和蝋燭の工房兼お店です。
7月に発売された雑誌「季刊地域

の取材の際に、取材者である大西暢夫さんや吉田製蝋所のご夫婦から「一度、岡崎の松井さんに行ってみたらいいよ」と教えていただき、夏休みを利用して訪問することにしました。

松井本和蝋燭工房外観

松井さんの工房の前に到着すると、蝋の独特の香りが外まで漂っており期待が高まりました。
お邪魔した時には、ちょうど「上掛け」という作業をされていました。

和蝋燭は、芯を刺した棒に少しずつ蝋を手で塗っていきますが、最初は蝋燭の内側になる部分を塗っていく「下掛け」という作業を行い、下掛けである程度の太さになると上掛けとなります。
(下の写真が、和蝋燭を作る工程順に、途中段階から商品までを並べたものです。)

下掛けと上掛けでは、使う蝋が違い、吉田製蝋所産のブドウハゼ蝋は上掛けでのみ使われています。下掛けには、九州の蝋を使うそうです。

写真一番右が吉田製蝋所製のブドウハゼ蝋、真ん中と左が九州のハゼ蝋

ブドウハゼ蝋を外側に使う主な理由は
① ブドウハゼ蝋は空気を含むと白っぽくなり、見栄えが良い
② ブドウハゼロウは融点が高く、溶けにくいため外側に使うことで蝋燭が長持ちする
ということのようです。

吉田さんのブドウハゼ蝋を使う和蝋燭づくりの工程をしっかり見ることができ、とても幸運でした。
昔からされていたブドウハゼの活用法を、間近で見ることができました!

作業されている間も、松井さんは様々な説明をしてくださったり、質問に答えてくださったりと、手を止めることなくお話ししてくだる、熟練の職人さんでした。
和ろうそくの良さを科学的に証明しようと、愛知県内の様々な大学と共同で炎の研究や脳波の研究にも取り組まれているそうでs。
研究によると、和ろうそくの芯である和紙とイグサから作られる燈心を燃やしながら出る炎は、α波が出ておりリラックス効果が高いそうです。

見学した際には、上掛け作業だけでなく、芯を出す「芯切り」と長さを整える「底落とし」という工程も見せていただきました。
どちらも、炭火で温めた包丁を使って蝋燭の形を整えていく繊細な作業でしたが、松井さんは迷いなくスピーディにされていました。
作業の様子から後片付けまで、どの工程を見ていても見惚れてしまう飽きることのない手つきで、感動しました。

何より、炭火を使って蝋を溶かし、芯づくり、蝋燭づくり全てを手作業で行うという、徹底的な「伝統製法」にこだわっておられるというのが一番の印象でした。
松井さんは「とにかく伝統を守りたい。一本一本丁寧に作り、和ろうそくの良さを伝えていきたい。この炎の揺らぎを楽しんでほしい。」とおっしゃっておられ、和ろうそくへの愛も感じました。

伝統製法を現代に残し、次世代に繋いでいく松井さんの情熱から学ぶことがたくさんありました。
また、今回たくさんの写真や動画を撮影させていただきました。
これらをもとに、ブドウハゼをPRする動画をバージョンアップして作る予定です。お楽しみに!

以下は、生徒の感想です。

松井本蝋燭工房を見学して、私たちが今使っているブドウハゼは昔の人からのいろんな思いが詰まっているものだと改めて気付かされました。
吉田製蝋所に行った時も、いろんな人の想いや応援があって、私たちが活動できていることを実感することが多く、いつも吉田さんのところに行くと頑張ろうって思います。
今回出会った松井さんは、伝統をすごく大事にしている方だったので、私たちの知らなかったところでも、ブドウハゼや和蝋燭を大事にしてる方がいることに気付かされました。
日本には、いろんな伝統があってそれを代々受け継がれてきていると思うとすごく素敵なことだと思いました。
いろんな人の思いがこもった商品を作って、それを伝えていくことが私たちができることだと実感しました。
これからももっとキノミノリについて深く考えていきたいと思いました。
(N・K)

松井本和蝋燭工房で、映像を作るための撮影をするにあたって、たくさんの和蝋燭職人さんの動画を検索して見ていたので、上掛けの作業や溶けている蝋を生で見ることができ「本物だっ‼︎」と感動しました。
そして何より、どこを撮ってもいい素材がファインダーに入ってくる素敵な作業場でした。壁や扇風機、上から吊るしていた延長コードにも蝋がびっしり付いていて驚きました。
勝手なイメージで職人さんはカメラとかちょっと嫌うのかな、とも思っていましたが杞憂に過ぎなかったです。
とても気さくな方で、動画で撮れそうなものを色々持ってきてくださいました。本当にありがたかったし、うれしかったです。
質問に答えてくださっている最中でも、蝋燭の作業をしていて最終的に400本くらい作っていたと聞いて驚きました。
幸運にも見学へ行った日が上掛けの作業で、一番撮りたかった映像が撮れました。
この一日のおかげでより葡萄櫨、和蝋燭を絶やしたくないなと思いました。私たちができることをできるだけやり、少しでも多くの人に葡萄櫨や和蝋燭が伝わればいいなと思いました。
(K・A)

りら創造芸術高等学校HP

りら創造芸術高等学校(平成28年4月開校)WEBサイト

りら創造芸術高等学校HP

関連記事

no image

ブドウハゼの原木が天然記念物に再登録!

2017年から授業「地域デザイン」の課題として調査しており、 「枯死して跡形もない」とされ、

記事を読む

葡萄櫨の原木3Dスキャン

2019年12月6日、授業地域デザインで抹消天然記念物「葡萄櫨の原木」のフォトグラメトリによる3D

記事を読む

授業こぼれ話「きつねの小判」の由来仮説

きつねの小判という子どもの遊びをご存知だろうか? 「きつねの小判を100個集めると願

記事を読む

第2回 吉田製蝋所見学

授業「地域デザイン」葡萄櫨の原木調査の一環で海南市にある 全国でも珍しい玉絞りで製蝋する「吉

記事を読む

オーガニックコスメ製作【⑩奇跡の出会い編】

※オーガニックコスメ製作の前回のブログはこちら  前回までに書いたように、「カヤの香りのオ

記事を読む

地域デザイン【葡萄櫨の原木調査】県による竹の除去作業

2018年3月7日午後、県の担当者の方からご提案をいただき、 原木に日光が当たるように周辺の竹

記事を読む

オーガニックコスメ製作 【②精油抽出編】

前回のブログはこちら 紀美野町内にある植物で、香料になりそうな良い香りの物として先生が挙げて

記事を読む

りらのマフィンにミニサイズができました!

写真のお皿に乗っている左側が、これまで販売していたサイズ。右側が新しいミニサイズです。

記事を読む

授業【地域デザイン】 ブドウ櫨の原木を探す

授業地域デザインでは、京和ろうそくの原材料になるブドウ櫨についても調べています。 ht

記事を読む

吉田製蝋所での製蝋作業見学

12月14日、海南市にある吉田製蝋所の製蝋作業をりらファクトリーのメンバーで見学に伺いました。

記事を読む

りら創造芸術高等学校HP

りら創造芸術高等学校(平成28年4月開校)WEBサイト

りら創造芸術高等学校HP

Message

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

りら創造芸術高等学校HP

りら創造芸術高等学校(平成28年4月開校)WEBサイト

りら創造芸術高等学校HP
「わかやまふぃん」をりら地救DAYにて販売!

りらのまふぃんの新作「わかやまふぃん」を開発しました!

【コラム】2024年度 進路速報

今年度(2024年度)の高校3年生が、進路決定までに取り組んできた舞

りらファクトリー*ブドウハゼ収穫研修会に参加しました

先日、りらファクトリーで和歌山県林業試験場が主催する「ブドウハゼ収穫

第7回りらシアター閉幕

10月19日(土)『第7回りらシアター』を和歌山城ホール大ホールにて

木蝋~JAPAN WAX~ ブドウハゼ産業PR動画完成!

ブドウハゼ産業をPRするための動画が完成しました。 り

→もっと見る

PAGE TOP ↑